王女は無事に島に着いた。
しばらくの間、彼女には港で待っていてもらうつもりだ。機嫌を損ねないでいてくれるといいが。
甲板から窺える限りでは、なんの変哲もない孤島に見える。財宝が眠るという地下遺跡が、来訪者を待ち、そこに佇んでいるということ以外は。彼らも遺跡に招かれたのだろう。すでに何人かが上陸し、各々行動を起こしているようだ。
「……」
遺跡、財宝、七つの宝玉。胸に潜ませたこの手紙を見る度に、失ったはずの私の情熱は蘇り、かつての日々が色鮮やかに思い出される。
あれから一年。前線こそ退いたものの、力を求める多くの者に武器を与え、戦場との繋がりを持ち続けてきた。それでも私は退屈だったのかもしれない。だからこそ、突然に届いた招待状をただの一片も疑うことなく、遠きこの地へとやってきたのだ。
ここはあの頃と同じように、否、それ以上に私を満たしてくれるのだろうか。
「……おや、もうこんな時間か」
「契約は……明朝でいいだろう」